こうした破綻を回避するため、法務省が創設した仕組みが「相続土地国庫帰属制度」だ。要らない相続土地を国に引き取ってもらうこの制度は、一見すると救世主のように思える。だが、現場の現実は甘くない。
適用を受けるための条件は極めて厳格だ。建物が存在する土地は対象外となるため、解体して更地に整備しなければ申請すら受け付けられない。境界があいまいな土地や崖地も弾かれる。審査を通過しても、約10年分の管理費用に相当する負担金が一括で課される。国税庁の評価額がほぼゼロに近い地方の山林であっても、数十万円から100万円単位の現金を納付しなければならないのだ。国が手放しで何でも引き取ってくれるわけではない。