集中が続かない。本を開いても同じ行を何度も読み返してしまう。そんな経験はないだろうか。画面に届く一通の通知、ポップアップするニュース速報。それらが視界に入るだけで、私たちの脳は作業記憶(ワーキングメモリ)をリセットされる。たとえスマートフォンを裏返しにして置いていても、「そこにある」と認識しているだけで脳のリソースの一部が消費されているという実験結果も存在する。
TikTokやYouTube、Instagramなどのソーシャルメディアアプリは、利用者の滞在時間を一秒でも長く引き延ばすために高度なアルゴリズムで最適化されている。次々とスクロールされる縦型動画のスピードに慣れきった脳は、変化の少ない現実世界の作業に対して強い苛立ちや退屈を覚えるようになる。これは、意識のコントロール権を自ら手放し、アプリ側に握らせてしまっている状態だ。