日本女子ソフトボールの歴史を語る上で欠かせないのが、上野由岐子の現在の姿です。北京五輪での「413球の熱投」、東京五輪での連覇達成を経て、40代を迎えた今もなおビックカメラ高崎のエースとしてJDリーグのマウンドに立ち続けています。
全盛期の120km/h超(体感速度160km/h以上)の剛速球でねじ伏せるスタイルから、打者の心理を読み切る卓越した配球、多彩な変化球の出し入れ、カットボールやチェンジアップを駆使する「円熟のピッチングアート」へと進化を遂げました。当時の特番インタビューや手記において、上野本人は「年齢を理由に限界を決めるのは自分自身。マウンドで新しい自分に出会い続けることこそが投げ続ける理由」と告白しており、そのストイックな姿勢は後進の生きた教科書となっています。
世界の舞台において「女子ソフトボール歴代最強ピッチャーは誰か」という議論は常に白熱します。日本のレジェンドである高山樹里や上野由岐子、アメリカの絶対的エースであったモニカ・アボットやキャット・オスターマン、オーストラリアのメラニー・ローチなど、時代を築いた怪腕たちが比較されてきました。現代の日本球界では、東京五輪のリリーフで世界を震撼させたサウスポー・後藤希友や、剛速球を武器とする勝股美咲らがその系譜を継ぎ、世界一の投手王国を維持しています。