失意の底から数年の時を経て、彼は芸名を「鴈龍」と改め、再び舞台やスクリーンの世界へと復帰を果たす。この芸名は、かつて勝新太郎の兄である若山富三郎や歌舞伎の血脈に連なる「鴈」の字を意識し、一人の表現者として出直す覚覚悟を込めて付けられたものだった。
復帰後の彼は、親の七光りに頼る姿勢を一切捨て、泥臭い殺陣や重厚な演技に取り組んだ。数々の本格派時代劇や骨太なアクション映画に出演し、画面の端々に漂う哀愁と凄みで独自の存在感を放つようになる。かつての悲劇を胸に秘め、静かに刀を振るう彼の姿は、玄人筋の映画ファンから高い評価を獲得していった。