澤田瞳子は1977年、京都府に生まれました。幼少期から歴史や文化財に親しむ環境で育った彼女は、同志社大学文学部文化学科文化史学専攻へ進学。同大学院文学研究科博士課程前期を修了し、博士課程後期へ進んで奈良時代の古代仏教美術史を専門的に研究しました。
研究者としての道を歩んでいたものの、歴史の定説の狭間に埋もれた名もなき人々の息遣いを表現したいという情熱から、創作の道へ転身。2010年に長編小説『孤鷹の天』でデビューを果たしました。奈良時代後半の政争を描いた同作は、第17回中山義秀文学賞を最年少で受賞し、文壇に鮮烈な衝撃を与えました。
単なる資料のトレースにとどまらず、古文書の行間から当時の空気感や人々の体温を立ち上がらせる筆力は、アカデミックな研究現場で鍛え上げられた確かな知見に裏打ちされています。