近年、札幌の美食地図を劇的に書き換えているのが、現地イタリアの星付きレストランで研鑽を積んだ若手・中堅シェフたちの帰還ラッシュだ。彼らの多くが独立の地として選んだのが、札幌の円山地区やすすきの周辺である。
「東京や欧州の大都市ではなく、生産者との物理的・心理的距離が極めて近い札幌で勝負したかった」。ある新進気鋭のシェフは独立の理由をそう明かした。早朝に農園や港へ自ら車を走らせ、その日の仕入れに合わせて即興でメニューを構築する。型にハマらない自由さと、ヨーロッパ仕込みの緻密な調理理論の同居。彼らが持ち込んだ新しい風が、街全体のレベルを底上げしている。