事件から18年が経過した2015年、事件の余波は再び巨大な議論の渦を巻き起こした。加害男性自らが認めた手記『絶歌』が太田出版から突如として刊行されたからである。本には犯行に至る鬱屈した心理や医療少年院での更生過程が克明に綴られていたが、遺族への事前相談や承諾を欠いた状態での出版であったため、激しい社会的批判が噴出した。
遺族側は即座に出版の差し止めと回収を強く求めたが、出版社側は「事件の背景にある精神構造を記録し、社会に共有することは今後の犯罪防止に資する」との大義名分を掲げて刊行を継続した。この決定は、被害者感情の置き去りと加害者による言論ビジネスという重い課題を突きつけ、報道ジャーナリズムにおける表現の自由と倫理的責任のあり方に根深い爪痕を残したのだった。