『志村けんのバカ殿様』を語る上で欠かせないのが、殿を取り囲む豪華な共演者たちです。とりわけ「腰元(こしもと)」の存在は、お色気と笑いを融合させた昭和・平成バラエティの象徴的な装置でした。
家老役には、ドリフ時代の盟友であるいかりや長介さんから始まり、長年にわたりツッコミ役を務めた加藤茶さん、そして番組後期の屋台骨を支えた桑野信義さんへと受け継がれました。桑野さんのトランペットを用いた掛け合いや、爺としての情けないリアクションはコントの重要なリズムを作っていました。
一方、歴代の腰元役には、各時代を代表する人気タレントやアイドルがキャスティングされてきました。優香さんは筆頭腰元として志村さんと阿吽の呼吸を見せ、単なるお飾りではないハイレベルなコントの間を体現しました。さらに、研ナオコさんとの息の合った怪演(名物の「赤まむし」や芸者コント)、柄本明さんとのシュールな静寂の掛け合いなど、実力派俳優とのコラボレーションは番組の芸術性を極限まで引き上げました。
歴代腰元には、飯島愛さん、森下千里さん、磯山さやかさん、多岐川華子さんといった面々が名を連ね、時代ごとのトレンドを映し出す鏡としても機能していました。絶対的な権力者である殿様が、若い腰元たちから「殿、またそんなことして!」とあしらわれ、時に子供のように拗ねる姿は、権威主義を無力化する痛快なエンターテインメントだったのです。