これらの迷シーンは、決して作者の手抜きによって生まれたものではありません。後年のインタビューやメディア取材で明かされたのは、当時の『少女コミック』連載陣が直面していた壮絶を極める執筆環境でした。
当時は月2回刊のペースで30ページ前後の連載を抱え、アシスタントの手配すらままならない超ハードスケジュール。加えて現在のようにインターネットで即座に銃火器の資料を検索できる時代ではありませんでした。締め切り直前、編集者から「ここにスナイパーを出してくれ」と急遽指示され、手元に資料がないまま想像と記憶だけを頼りに数十分で描き上げた結果が、あの伝説のコマだったのです。
ミリタリーの正確さよりも「締め切りを守り、ドラマの熱量を落とさないこと」を最優先せざるを得なかった現場の凄まじい熱量が、期せずして後世に残る名コマを生み出す背景となりました。