フジテレビジョンが月曜9時枠で勝負に出た『海のはじまり』は、脚本・生方美久、演出・風間太樹をはじめとする『silent』チームが再集結した意欲作だ。主演を務めた目黒蓮は、かつての恋人の死をきっかけに、自らに娘が存在していた事実を知る青年・月岡夏を繊細なニュアンスで演じきった。
父性とは何か、家族とは血縁なのか時間なのか。重く静謐なテーマに対し、本作は安易なカタルシスを用意しない。セリフの間、登場人物たちの視線の揺らぎ、水彩画のように美しい映像美を通して、言葉にならない感情の機微を丹念にすくい上げた。テレビドラマというフォーマットでここまで静けさと痛みを誠実に描き切った姿勢は、国内外の批評家からも極めて高い評価を獲得している。