春の動物病院がパニック状態になる最大の理由は、法的な義務と季節的な予防医療が同じタイミングで重なるからだ。
狂犬病予防法に基づき、犬の飼い主には毎年4月1日から6月30日までの間に「狂犬病予防注射」を受けさせることが義務付けられている。農林水産省や日本獣医師会もこの時期に合わせた接種を推奨しており、自治体からの通知ハガキを手にした飼い主が一斉に病院へと向かう。
さらに、気温の上昇に伴って活発化する蚊を媒介とする「フィラリア予防」のスタート時期もぴったり合致する。フィラリア予防薬を処方するには、事前に安全性を確認するための血液検査が欠かせない。ノミ・マダニ駆除薬の処方や、新年度に合わせた春の健康診断キャンペーンも加わり、診療項目が一人あたり2倍、3倍に膨らむのが4〜6月の実態だ。