燃堂力が読者やネットコミュニティから「聖人」「天使」と称賛されるのは、その風貌からは想像もつかない純度100%の利他主義にあります。彼の行動には「自分が良く思われたい」「褒められたい」という承認欲求が微塵も存在しません。
象徴的なのが、捨て猫とのエピソードです。雨の中に捨てられていた子猫(のちのワープ能力者・アンプに対比される野良猫)を前にした際、燃堂は自分の傘を迷わず猫に差し出し、ずぶ濡れになりながら動物病院や世話の方法を探し回りました。また、クラスメイトの海藤瞬がいじめっ子や不良に絡まれている現場に遭遇した際も、「助けてやった」という恩着せがましさを微塵も見せず、単に「おっ、遊んでるのか?」と自然体で割って入り、結果として海藤の尊厳を傷つけることなく窮地を救っています。
彼の哲学を端的に象徴する名言として、ファンの間で語り継がれているのが以下の言葉です。
「仲間を疑うぐれぇなら、騙された方がマシだぜ」
自分を陥れようとする相手の悪意すら疑わず、裏切られる痛みを恐れずに人を信じ抜く。この極端なまでのピュアネスは、普段は人間嫌いで冷徹を装う斉木楠雄の心を幾度となく動かしました。斉木が最終的に彼を鬱陶しがりながらも決して見捨てず、むしろ「相棒」としての距離感を受け入れているのは、燃堂の心の中に「斉木を利用しようとする邪念」が完全に存在しないことを誰よりも知っているからです。