「恋そめし」の歌詞には、平安時代から詠み継がれてきた百人一首の有名な和歌や、古くから日本人に親しまれてきた恋文の表現が散りばめられている。幼い子どもたちが口ずさむ歌詞の中に、千年前の歌人が抱いた切ない恋心が脈々と息づいているのだ。
『にほんごであそぼ』の企画・監修を務める明治大学教授の齋藤孝は、日本語の持つ美しい音調やリズムを身体感覚として捉えることの重要性を提唱してきた。「恋そめし」の歌詞もまた、意味を丸暗記させるのではなく、言葉の響きや初恋の甘酸っぱい情感をダイレクトに心へと届ける仕掛けになっている。言葉の意味を知れば知るほど、大人こそ深く胸を締めつけられる深遠な世界観が広がっている。