かつて昭和から平成にかけてのビジネス界では、平社員像といえば『釣りバカ日誌』の主人公・浜崎伝助(ハマちゃん)に代表される「出世に興味がなく趣味や私生活を謳歌するマイペースな社員」か、あるいは弘兼憲史が描いた『課長島耕作』シリーズのように、愚直に企業組織の階段を上り詰める「企業戦士の予備軍」という二大極限で捉えられがちだった。テレビのビジネスドラマでも、平社員はしばしば組織の不条理に耐える悲劇の主人公、あるいはコミカルな狂言回しとして描写されてきた歴史がある。
しかし、令和の現実社会はそうしたフィクションの構図を軽々と超えていった。趣味に生きるハマちゃん型の平社員も、出世に執念を燃やす島耕作型の若手も、現在の厳しいビジネス環境下ではそのままのスタイルで生き残ることは難しい。企業側に「終身雇用」の体力が失われた今、役職の有無にかかわらず、個人がどのような価値を自社や市場に提供できるかがシビアに問われているからだ。