1994年の結婚から数年、二人に最大の試練が訪れたのは2000年のことだった。向井亜紀に発覚した子宮頸がん。妊娠が判明した直後の衝撃的な診断だった。
命を守るためには子宮の全摘出が避けられない。命か、新しく宿った命か。究極の選択を前に、高田延彦は迷わず「妻の命が最優先だ」と強く抱きしめたという。プロレスや総合格闘技のリングで数々の修羅場をくぐり抜けてきた男が見せた、一人の人間としての切実な叫びだった。葛藤の末、胎児を諦め命を優先する手術を決断。格闘家としての威厳を脱ぎ捨て、病院のベッドの傍らで妻の手を握り続けた男の姿は、多くの人々の心を打った。