広島県の防災を考える上で、地形特性の二面性を理解することが不可欠です。都市機能の中枢である広島市中心部は太田川が形成した三角州(デルタ)上にあり、その背後にはマサ土(風化花崗岩)で覆われた険しい山地が迫っています。
公開されている広島市 地震 危険度マップや県の総合ハザードマップを照合すると、以下の3つの危険ゾーンが明確に浮き彫りになります。
- 中区・南区・西区の沿岸デルタ・埋立地域:揺れが増幅しやすい沖積層であり、震度6強時の液状化リスクが「極めて高い」と判定。地下インフラ(上下水道・ガス)の復旧長期化が懸念される。
- 安佐南区・安佐北区・安芸区などの山沿い住宅地:直下型地震の強い揺れによって、2014年や2018年の豪雨災害と同様に急傾斜地での大規模な土石流・がけ崩れが発生する恐れがある。
- 島しょ部・半島部(江田島・呉・竹原など):主要道路が海岸沿いまたは山裾の単一路線に依存しているため、落石や津波浸水によって地域全体が孤立集落化するリスクが高い。
地震が発生した際、平野部では倒壊・火災・液状化、山間部では斜面崩落という「異なる形態の危機」が同時多発します。自宅だけでなく、職場や通勤経路がどの危険ゾーンに該当するのかを、最新のハザードマップで事前に立体的に把握しておく必要があります。