タイトルにもなっている『夏への扉』というフレーズは、本作の象徴的なメッセージです。
猫のピートは、冬になると家中のドアを順番に開けさせようとします。「どの扉を開けても外は冷たい雪景色」であるにもかかわらず、ピートは「どこかの扉を開ければ、必ず夏に通じているはずだ」と信じて疑いません。
宗一郎はこのピートの姿に自分自身を重ね合わせます。裏切りに遭い、時代から取り残され、どんなに厳しい冬のような現実に直面しても、決して諦めずに扉をノックし続ければ、必ず暖かい夏へ抜け出せる――。このシンプルで力強いポジティブな哲学こそが、発表から70年近く経過してもなお、世界中の読者の背中を押し続ける最大の理由です。