かつて昼時のオフィス街を埋め尽くした行列の風景が、いまや様変わりを見せている。外食産業全体が深刻な原材料高と人件費上昇のダブルパンチに直面する中、店舗側は価格転嫁を余儀なくされてきた。だが、単純な値上げを行えば即座に客離れを招く。このジレンマに直面する飲食店を横目に、急拡大を遂げたのが自宅やオフィスで手軽に済ませる中食市場だ。
取材に応じた都内の飲食店オーナーは「食材費と光熱費がここまで上がると、1000円未満で利益を出すのは至難の業」と本音を漏らす。店内で提供する料理の質を維持しつつ収益を確保するため、客席回転率の向上だけでなく、テイクアウトやデリバリーの併用が不可避な時代へと突入している。