裁判員裁判で行われた刑事裁判の最大の争点は、母親に「殺人罪(未必の故意)」が成立するかどうかでした。弁護側は「死ぬとは思わなかった」「パニックになって帰れなかった」として保護責任者遺棄致死罪にとどまると主張しましたが、検察側は「死亡の危険性を十分に認識しながら放置を続けた」として殺人罪で無期懲役を求刑しました。
2012年3月の一審・大阪地裁判決では、密閉された猛暑の部屋に飲食物を置かずに放置した行為について、「極めて残虐であり、死亡する危険を認識・認容していた」として未必の殺意を認定。下村早苗被告に対し、有期懲役の上限である懲役30年の実刑判決を言い渡しました。
その後、大阪高裁でも控訴が棄却され、2013年3月に最高裁判所が上告を棄却したことで、懲役30年の刑が正式に確定しました。保護責任者遺棄致死ではなく殺人罪が適用され、有期刑上限の判決が下されたことは、司法界におけるネグレクト事案への厳罰化を象徴する判例となりました。