ビジネス界やクリエイティブ分野で目覚ましい成果を上げる人物たちを観察すると、彼らの多くが驚くほど限定的な意思決定しか行わないことに気づく。毎日同じ服を着る、朝食のメニューを完全固定化する、返信の定型文を徹底的に自動化するといった行動は、一見すると無頓着に映るかもしれない。しかし、これこそが省エネ思考の極致だ。
かつては「きちんとしていること」が美徳とされた日本社会でも、この価値観の地殻変動が起きている。業務や私生活における不要なプロセスを削ぎ落とし、余白を作ること。この「戦略的手抜き」を実行できる人こそが、不測の事態にもしなやかに対応できるメンタルタフネスを備えている。努力の量を競う時代は終わり、いかにエネルギーの浪費を防ぐかが評価されるフェーズへと移行したのだ。