なぜ畠山鈴香は、我が子と無関係な近隣の児童という2人の命を奪うに至ったのか。公判資料によると、2つの犯行にはそれぞれ異なる動機と心理状態が存在していました。
彩香ちゃんに対する犯行は、衝動的な苛立ちと自己保身が引き金となりました。2006年4月9日夜、ドライブ中に立ち寄った大阿仁橋の上で、彩香ちゃんから「魚を見たい」とせがまれた際、以前からの育児ストレスや娘に対する複雑な感情が爆発。欄干に座らせていた娘を、突発的に川へと突き落としました。転落後、救助を呼ぶこともなく現場を立ち去った行為について、裁判所は未必の殺意を認定しました。
一方、米山豪憲くんに対する犯行の動機は、極めて身勝手かつ歪んだものでした。彩香ちゃんの死を事故死として片付けようとする警察への不信感から、「町で別の重大事件が起きれば、警察が彩香の件も事件として再捜査してくれるのではないか」という常軌を逸した発想に至ったのです。さらに、近所で両親から深い愛情を受けて育っていた豪憲くんの家庭に対する激しい嫉妬心も重なり、自宅に誘い込んだ上で絞殺するという冷酷な計画的犯行に及びました。