SNSやネット掲示板では、就活に関する不正確な情報や恐怖心を煽るデマが散見されます。就活生が陥りがちな3大誤解の真実を法的な根拠とともに整理します。
誤解1:「内々定承諾書」にサインして提出したら法的に辞退できない?
これは完全な誤解です。多くの企業が提出を求める「内々定承諾書」や「誓約書」には、「正当な理由なく辞退しないこと」といった文言が並んでいますが、憲法第22条で保障された「職業選択の自由」および民法第627条第1項(無期労働契約の解約の自由)が企業独自の書類よりも法的に上位に位置します。たとえ提出後であっても、辞退の申し出を行う権利は学生側に100%残されています。
誤解2:「辞退したら損害賠償を請求される」は本当か?
結論から述べると、一般的な就活生が採用辞退によって企業から損害賠償を請求され、法的に支払いを命じられるケースは実務上あり得ません。企業が学生の入社準備(研修備品の手配等)に費用を投じていたとしても、それは企業の採用活動に伴う通常の事業リスクの範囲内と判断されます。ただし、入社直前まで辞退を意図的に隠し続け、入社式当日に突然音信不通になるといった極めて信義則に反する悪質なケースではトラブルに発展する可能性があるため、決断した瞬間に速やかに連絡することが大原則です。
誤解3:企業側は自由に「内々定・内定取り消し」ができるのか?
学生からの辞退が極めて自由である一方、企業側からの内定取り消しは極めて厳格に制限されています。法的に内定は労働契約であるため、内定取り消しは「解雇」と同等に扱われます。労働契約法第16条に基づき、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」は無効です。認められる条件は以下の極めて限定的な事由に限られます。
- 大学を卒業できず、単位不足で留年が確定した場合
- 重大な犯罪行為や反社会的行動により逮捕・起訴された場合
- 履歴書や面接における経歴に重大な詐称(学歴・職歴・資格等の偽装)が発覚した場合
- 天災や破産など、企業の存続自体が物理的に不可能なレベルの極度の経営破綻が生じた場合