「工芸館が移転して、あの建物は取り壊されたのではないか」という懸念を耳にすることがありますが、それは事実無根の誤解です。東京国立近代美術館工芸館は、政府の地方創生政策に伴う関係機関の地方移転方針に基づき、2026年10月に石川県金沢市へ移転(通称:国立工芸館)しました。これに伴い所蔵作品の約7割が金沢へと拠点を移しましたが、歴史的建造物である旧近衛師団司令部庁舎そのものは北の丸公園の地にそのまま保存・管理されています。
移転後の活用状況について、文化庁および東京国立近代美術館の公式発表や関係者の動向を確認すると、建物は東京国立近代美術館の関連施設として厳重に維持管理されています。現在は常設の展示施設としては稼働しておらず、主に文化財保全のための点検や特別なプログラム、文化財ウィーク等の機会に合わせた限定的なイベント利用が中心です。
読者が最も気にする「一般見学・内部公開の可否」ですが、外観については皇居外苑・北の丸公園の開放時間内であれば、年中いつでも無料・予約不要で間近から鑑賞可能です。一方で、内部に関しては文化財保護の観点および空調・展示設備の再整備計画との兼ね合いから、通常時は非公開となっています。年に数回開催される特別公開イベントや自治体のガイドツアーなどを除き、日常的にドアを開けて中に入ることはできないのが実情です。