贈答品やネット通販の普及により、自宅で乾麺を調理する機会が急増しています。しかし、消費者の間で最も頻発する悲鳴が「麺と麺がピッタリ張り付いて、巨大な小麦粉の板になってしまった」という茹で上がりの失敗です。このトラブルを根絶するためには、熱力学とデンプンの糊化(α化)特性を理解した正しい茹で方が欠かせません。
失敗を完全に防ぐひもかわうどん茹で方の絶対条件は、湯量の確保と投入の手順です。麺100gに対して最低でも1.5リットル、200gなら3リットル以上の湯を沸騰させます。絶対にやってはならないのが「素麺のように束のままパラパラと放り込む」行為です。幅広麺は面積が広いため、束のまま落とすと熱湯の中で瞬時に重なり合い、表面のデンプンが熱で糊化して接着剤の役割を果たしてしまいます。
正しい手順は、グラグラと完全に沸騰した大鍋の中に、「必ず1枚ずつ、ヒラヒラと泳がせるように時間差をつけて投入する」ことです。1枚入れたら2〜3秒待ち、次の1枚を鍋の異なる位置へ滑り込ませます。すべての麺が湯の中で独立して対流している状態を作り出せば、くっつきは100%防止できます。このとき、箸で激しくかき混ぜると薄い生地が破れる原因になるため、鍋肌を優しくなぞる程度に留めます。
標準的なひもかわうどん乾麺茹で時間は、メーカー指定の10分から12分をタイマーで厳密に計測してください。茹で上がったら迷わずザルにあげ、間髪入れずに冷水で表面のぬめりを優しく洗い流します。最後は氷水でキュッと締めることで、専門店並みの透明感と弾力が蘇ります。
そして、麺の個性に負けないひもかわうどんつゆレシピの構築も必須要件です。面積の広いひもかわうどんは、淡白なつゆだと麺の小麦感につゆが負け、「水っぽさ」を感じてしまいます。王道にして至高の一杯を生むのが、群馬名物「上州肉汁つゆ」です。
【材料(2人前)】
・豚バラ薄切り肉:150g(ひと口大)
・長ネギ:1本(斜め薄切り)
・油揚げ:1枚(短冊切り)
・出汁(昆布と厚削り鰹節):400ml
・醤油:大さじ4
・みりん:大さじ3
・酒:大さじ2
・砂糖:大さじ1
・ごま油:小さじ1
鍋にごま油を熱して豚バラ肉と長ネギを炒め、肉の表面が白くなったら出汁と調味料、油揚げを投入して5分ほど中火で煮込みます。豚肉から溶け出した脂のコクと長ネギの甘味がつゆ全体に回り、幅広麺を潜らせたときに油分が麺の表面をコーティングして極上の旨味をもたらします。
さらに、余った麺のポテンシャルを引き出すひもかわうどんアレンジ料理も見逃せません。その形状を活かしてミートソースとホワイトソース、チーズを重ねてオーブンで焼き上げる「和風ラザニア」や、茹でた麺を短冊状にカットして中華スープに浮かべる「ワンタン風スープ」、明太子クリームと絡めるパスタスタイルなど、麺料理の枠を超えたクリエイティブな食卓が広がります。