SNSやネット掲示板では、今なお「臓器目当ての誘拐」「アイス風呂で目覚めた被害者」といったセンセーショナルな噂が定期的に拡散される。だが、結論から言えば、現代の日本国内において暴力的な手段による臓器強奪や闇クリニックでの密かな摘出手術は医学的にあり得ない。
臓器移植を成功させるには、高度な滅菌環境が整った手術室、数十人規模の専門医療チーム、そして患者と提供者の血液型や白血球の型(HLA型)を厳密に一致させる高度な検査設備が不可欠だ。適合しない臓器を移植しても激しい拒絶反応を起こすだけであり、場当たり的な拉致で適合するドナーが見つかる確率は天文学的に低い。
しかし、「暴力的な略奪が存在しない」からといって、日本に臓器売買が存在しないわけではない。現実の日本の臓器売買の実態は、より巧妙で知能犯的な手口で行われてきた。法的な書類を偽造して親族を装い、正規の大学病院や総合病院の医師を欺いて移植手術を受けさせる――これこそが、日本の捜査機関が実際に直面してきた現実だ。