バリー・ボンズが本格的にパフォーマンス向上薬(PED)に手を染めたとされる契機は、1998年のマーク・マグワイアとサミー・ソーサによる歴史的な本塁打王争いでした。地元紙サンフランシスコ・クロニクルの敏腕記者らが著した調査報道本『ゲーム・オブ・シャドウズ』によると、当時すでに走攻守すべてで球界屈指の実力を誇り、3度のナ・リーグMVPを獲得していたボンズは、メディアとファンが粗削りな長距離砲たちに熱狂する光景に深い屈辱と孤立感を抱いていたと記録されています。
翌1999年以降、ボンズの肉体には誰もが見過ごせない劇的な変化が現れました。ピッツバーグ・パイレーツ時代は俊足巧打のシャープな外野手(公称体重約84キロ)だった彼が、短期間で100キロを超える筋骨隆々の巨体へと膨れ上がったのです。筋肉量の増加にとどまらず、頭部や顎の肥大化、足のサイズの急激な拡大といった人体の骨格レベルの変化は、バリー・ボンズ 体型急変の理由としてヒト成長ホルモン(HGH)やアナボリック・ステロイドの副作用特有の症状ではないかと専門家から強く疑われる要因となりました。
ボンズ本人は当時、過酷なウエイトトレーニングと栄養管理の賜物であると一貫して主張していました。しかし、30代後半というアスリートの衰退期に差し掛かりながら、打球速度と本塁打数を異次元のレベルへと引き上げていった不自然な進化は、ファンの驚異と球界関係者の疑惑の視線を同時に集めることになったのです。