こうした住空間のパラダイムシフトの背景には、思想的なムーブメントが存在する。ベストセラー著者の佐々木典士は、著書や発信を通じて「モノを減らすことで得られる精神的自由」を説き、日本におけるミニマリズムの価値観を広く浸透させた。彼が提示した、モノへの執着を手放し自己の内面に向き合う姿勢は、忙しない現代人の心に強く響いている。
時を同じくして、近藤麻理恵が提唱した片づけの美学は、国境を超えて世界中を席巻した。Netflixで配信された番組『KonMari ~人生がときめく片づけの魔法~』は世界的ヒットを記録し、単なる整理整頓にとどまらない文化現象へと昇華した。ときめくものだけを残すという直感的なアプローチは、欧米をはじめとする世界中の家庭のライフスタイルを根底から塗り替えたのだ。現在もYouTubeなどを通じて多様な断捨離テクニックやルームツアーが拡散され、世界中の人々が理想の空間作りに挑戦し続けている。