すでに大ヒットを記録していたシリーズの完結編『結び』において、物語を活性化させる新入生キャストのオーディションは、若手俳優界隈でも屈指の激戦となりました。制作陣が求めたのは、すでに強固な絆を築き上げていた瑞沢かるた部レギュラー陣の輪を刺激し、作品に新たな推進力を与えられるエネルギーを持つ役者でした。
当時の制作関係者やインタビューによると、佐野勇斗は複数回にわたる実技審査において、筑波の持つ「憎めない生意気さ」と「真っ直ぐな泥臭さ」を前面に押し出して小泉徳宏監督の目に留まりました。選考を勝ち抜いた後も、役作りのハードルは非常に高いものでした。
経験者が集う現場でリアルな試合シーンを描き出すため、佐野は過酷な競技かるたの猛特訓に直面します。畳の上で指先から出血するほどの練習を重ね、札を払うスピードとフォームを徹底的に身体へ叩き込みました。この愚直なまでの役への没入力が、スクリーン上で躍動する筑波秋博の説得力を盤石なものにしたのです。