読者の間で特に評価が高いのが、RED 小説 ウタ 心理描写の深さです。映画版のウタに対して「情緒が不安定に見えた」「動機に少し無理があるのではないか」と感じていたファンほど、小説版を読んだ際の衝撃は大きくなります。
小説版では、エレジアに置き去りにされたウタが拾った「映像電伝虫」を通じて、外の世界の悲惨な現実を知っていく過程が克明に描かれます。自分が信じていたシャンクスへの憧憬と、エレジアを滅亡させたのが赤髪海賊団ではなく自分自身の歌声(トットムジカ)であったという真実を知った瞬間の精神的崩壊は、活字だからこそ表現できる生々しさです。
「自分が悪魔を呼び出して国を滅ぼした」という罪悪感に押しつぶされそうになりながらも、ファンから届く救いを求める声に応え続けるしかなかったウタの焦燥感。自らを犠牲にしてでも誰もが笑っていられる仮想現実(ウタワールド)を完成させようとした彼女の思考回路が論理的につなぎ合わされており、読者は彼女の悲壮な決意に深く共感せざるを得ません。