30代半ばから40代にかけて急激に強まる頭皮や後頭部周辺のニオイ。その主犯格こそが「ジアセチル」と呼ばれる揮発性の有機化合物だ。化学的には「2, 3-ブタンジオン」という名称で知られ、食品分野ではバターの香気成分として活用されることもある。しかし、これが皮膚上で皮脂中の脂質と混ざり合うと、一転して「使い古した調理油」「劣化して粘り出た油」に形容される不快な脂臭へと変化する。
この脂臭さは「ミドル脂臭」と呼ばれ、20代までの汗臭さや50代以降の加齢臭(2-ノネナール)とは発生源も臭いの質も異なる。ミドル脂臭の恐ろしい点は、非常に拡散力が高く、本人の鼻が慣れて麻痺しやすい点だ。特に頭頂部から後頭部、首筋にかけて集中的に発生するため、本人は気づかないまま枕や衣類の襟元に強烈なニオイを定着させてしまう。