世界遺産として世界中からハイカーを集める熊野古道や、千百年の歴史を誇る高野山。これらの山岳エリアを訪れる際に最も警戒すべきなのが、山間部特有の急激な気象変化だ。
海岸線では穏やかな太陽が照りつけていても、山中に入ると一瞬で空の表情が変わることがある。海から湿った風が急峻な傾斜を駆け上がり、上空で急速に冷やされることで、短時間で強力な積乱雲が発生するためだ。特に夏場から初秋にかけての午後、山肌を這うように黒い雲が広がったら要注意だ。落雷やゲリラ豪雨、時には雹(ひょう)が突発的に降ることもある。
標高差による温度ギャップも無視できない。標高約800メートルに位置する高野山では、平野部よりも気温が4度から6度近く低い。都市部での感覚のまま薄着で山に入り、濡れた体で冷風に晒されれば、あっという間に体力が奪われる。透湿性に優れたレインウェアと防寒着の携行は、季節を問わず必須の装備だ。