製菓・製パンの領域において、包装は味覚体験のプロローグと言っても過言ではない。パウンドケーキやブラウニーのような焼き菓子は、熱や油分に強い資材で包むことでしっとりとした質感が保たれ、食べる直前まで風味を閉じ込めることができる。
料理家の栗原はるみ氏が提案し続けてきたような、日常の何気ない手料理に宿る温もりとおもてなしの心は、こうした紙使いのディテールにも色濃く反映される。例えば、焼き立てのマフィンを正方形のペーパー中央に置き、四隅をラフに持ち上げてトップをリボンで結ぶ「巾着包み」は、素朴でありながら作り手の愛情をまっすぐに伝える。均一で無機質な包装とは一線を画す、手仕事ならではの陰影が焼き菓子の魅力を最大限に引き出す。