「なぜ、揚げている最中に爆発してしまうのか?」――この素朴な疑問に対して、現場を知り尽くした洋食シェフは「最大の要因は急激な水蒸気爆発と衣の破断にある」と分析する。コロッケ内部の水分が熱によって激しい水蒸気となり、膨張した圧力が衣の弱い部分を突き破ることでパンクが起きるのだ。
これを防ぐ最適解こそが、緻密な温度管理である。日本冷凍食品協会のデータや調理科学の知見によれば、理想的な揚げ温度は170℃〜180℃の範囲。油が高温すぎると表面だけが急激に固まり、内部の蒸気圧に耐え切れなくなって破裂を招く。反対に低温すぎると衣が油を吸い込み、ベチャついた不快な食感に陥ってしまう。
さらに、フライパンを使った「少量の油」で揚げる技術も長足の進化を遂げた。コロッケの高さの半分ほど(約1〜2cm)のキャノーラ油を満たし、中火でじっくり加熱。片面を1分半ほど触らずに焼き固め、ひっくり返してさらに1分半。仕上げに数秒だけ強火にして油を切れさせれば、少量の油でも外はサクサク、中はホクホクの食感が生まれる。かつて人気を博したテレビ番組の「得する人損する人コロッケ裏技企画」でも注目を集めた知恵が、節約と省エネを重んじる現代のキッチンで再び脚光を浴びている。