「厚塗りは1枚のレイヤーに直接すべてを描き込むもの」というイメージを持たれがちですが、商業現場や効率的な制作環境において完全な1枚レイヤーで完結させるプロは極めて稀です。修正の柔軟性を担保しつつ厚塗りの重厚感を出すための、失敗しないレイヤー構成手順を整理します。
ステップ1:ラフ・線画の作成
厚塗りでは最終的に線画を塗りつぶして馴染ませるため、線画を過剰に清書する必要はありません。輪郭やパーツの比率、アタリを正確に捉えたラフ線画を1枚用意します。
ステップ2:固有色によるフラットな下塗り(ベース分け)
キャラクターの「肌」「髪」「服」「瞳」など、パーツごとに別レイヤーを作成し、陰影のないフラットな固有色をベタ塗りします。この段階でシルエット全体の配色バランス(カラーパレット)を確定させます。
ステップ3:大まかな陰影(1影・環境光)の配置
各パーツレイヤーの上に「クリッピングマスク」を設定し、光源の位置を決めて大まかな陰影を配置します。細部の描き込みは行わず、太いブラシで光の当たる面と落ち影の面を大胆に2分割する意識が重要です。
ステップ4:パーツごとの結合と本格的な描き込み
下塗りと陰影レイヤーを結合(または新規レイヤーを最前面に作成)し、線画の境界線を絵の具で覆い隠すようにディテールを描き込んでいきます。不透明度を70〜90%程度に設定した厚塗り系ブラシを使い、エッジを立てる部分と馴染ませる部分を描き分けます。
ステップ5:全体統合と最終ライティング調整
最後に全レイヤーの結合コピーを最上位に配置し、オーバーレイや加算(発光)レイヤーを使ってハイライト、空気遠近感、反射光を付加して仕上げます。