ピクサー・アニメーション・スタジオが世に送り出した数々の名作の中でも、マイク・ワゾウスキのビジュアルは異彩を放っている。メガホンを取ったピート・ドクター監督らは、観客がひと目で恋に落ち、かつコミカルな動きに耐えられるデザインを徹底的に模索した。その結果誕生したのが、頭部と胴体が完全に一体化した「一頭身」のシルエットだ。
アニメーション業界において、CGアニメーション技術が急速に進化していた時代、球体に手足と一つ目を配置するというアイデアは非常に大胆だった。3Dアニメーション映画としてのリアリティを保ちつつ、カートゥーン特有のコミカルな伸縮をどう表現するか。その緻密なデザイン思想こそが、今なお世界中で愛されるイラストの原点となっている。