1980年代半ば、日本のテレビ業界に激震が走った。テレビ朝日の夜の顔として『CNNヘッドライン』のメインキャスターに抜擢されたのが、若き日の山口美江だ。アメリカのニュース専門局CNNの最新映像を背景に、流暢な英語と正確な日本語を自在に操るスタイルは、視聴者に強烈な衝撃を与えた。
当時のニュース報道といえば、堅苦しい男性アナウンサーが主導するのが常識だった。そこに現れた彼女の佇まいは、実に革新的だった。単にニュース原稿を読むにとどまらず、海外トピックスの背景にある文化的文脈まで瞬時に噛み砕いて伝える知性。その姿は、国際化へと突き進むバブル期の日本社会のシンボルそのものだった。