なぜ人はハグをされると、これほどまでに心が安らぎ、涙を流すのか。その答えは精神論だけでなく、神経科学の領域でも明確に解明されている。皮膚と皮膚が触れ合い、心拍が同調する瞬間、脳内では「幸福ホルモン」と呼ばれるオキシトシンが大量に分泌される。
オキシトシンには、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を大幅に抑え、血圧を下げる生理的作用がある。短時間のハグであっても、自律神経のバランスが整い、不安感や孤立感が和らぐことが実験で立証されているのだ。殺伐とした都市生活の中で人々が求めているのは、言葉による説得ではなく、生理的・感覚的な安心感にほかならない。