日本中が巻き起こした大バッシング。2010年バンクーバーオリンピックの代表会見で見せたスーツの着こなしや会見での態度をめぐり、当時の国内メディアは連日、非難の大合唱を展開した。体制への反発か、あるいは若さゆえの尖りか。いずれにせよ、伝統や規律を重んじる国際オリンピック委員会(IOC)の枠組みと、ストリートに根ざしたスノーボード文化の摩擦が、最悪の形で表面化した瞬間だった。
だが、波紋の裏で世界の評価は最初から全く異なっていた。どれほど国内で叩かれようとも、本場アメリカや欧州のシーンは彼のスキルとスタイルを絶賛していたのだ。コンテストの点数に縛られる世界に別れを告げた国母和宏は、自らの意思で極限のフィールドへと足を踏み入れた。