伝統的な裁縫技術を現代に伝える和裁士たちの世界では、結び目の摩擦抵抗を最大化する知恵が長年受け継がれてきた。糸が解ける原因は、結び目の密着度不足と糸の撚り(より)の戻りにある。
針に糸を巻きつける回数を多くすれば結び目が大きくなり抜けにくくなると思われがちだが、実は逆効果になる場合もある。大きすぎる結び目は布の糸目を通り抜けてしまったり、引っかかって解けやすくなったりするからだ。適切な巻き数は2回から3回。布地の厚みや糸の太さに合わせてこの回数を微調整することこそが、解けない結び目を作るプロの真髄と言える。