昭和から平成にかけて、夏の訪れとともに百貨店や駅ビルを席巻した「三愛水着楽園」。その姿を見かけなくなった背景には、ファッション業界の再編と巧みなブランド再生戦略が存在します。
旧・株式会社三愛の水着・下着事業は、2015年に女性用インナーウェア国内最大手であるワコールホールディングスの傘下に入り、新会社株式会社Ai(アイ)として再出発を切りました。これに伴い、長年親しまれた「三愛水着楽園」から、旅や日常のバケーションを包括的に提案する「San-ai Resort(三愛リゾート)」へと段階的なリブランドを断行したのです。
多くの生活者が「閉店して消えてしまった」と錯覚した最大の理由は、夏季限定ポップアップショップの統廃合にあります。かつては夏期のみ全国の特設会場へ数百店舗規模で大量出店していましたが、EC市場の拡大や旅行需要の通年化に合わせ、厳選された常設旗艦店とオンライン販売へ軸足を移行しました。看板の掛け替えと出店形態の構造改革が、「街から三愛水着が消えた」という噂の正体です。