「税収が過去最高を更新しているなら、減税や給付で国民に還元されるべきではないのか」という疑問は極めて自然です。しかし、どれだけ税収が増えても家計に還元されない背景には、日本の国家予算が抱える構造的な税金の使い道の真相があります。
国の一般会計歳出は年間110兆円を超えており、70兆円を超える税収が集まっても、歳出全体の約3分の2程度しか賄えていません。残りの約30〜40兆円は新規国債の発行、すなわち借金で補填されているのが現実です。
さらに、集まった税金の行き先には「削れない3大巨頭」が存在します。
1つ目は、急速な少子高齢化に伴って毎年数千億円単位で膨らみ続ける社会保障関係費(医療・介護・年金)です。2つ目は、過去に発行した借金の元本返済と利払いに充てられる国債費。金利上昇局面に入ったことで、利払い負担は年々重くなっています。3つ目は、周辺諸国の地政学リスクの高まりを受けて増額された防衛費です。
加えて、国民の所得に占める税金と社会保険料の合計割合を示す国民負担率(最新)は45%以上の高水準に張り付いています。「過去最高税収」という華々しい見出しの裏側で、増えた税収は既存の巨額赤字の埋め合わせと義務的経費の支払いに瞬時に消え去っているため、国民の手元へ実質的に還元される余力がないのが冷酷な真実です。