滋賀とバームクーヘンの深い結びつきを語る上で、老舗和菓子店「たねや」の洋菓子部門として誕生した「クラブハリエ」の存在を外すことはできない。本場ドイツのバームクーヘンは、ずっしりと重く、しっかりとした歯ごたえが特徴の伝統菓子だった。しかし、彼らが目指したのは全く異なる地平だった。
日本の気候風土と日本人の繊細な味覚に合わせ、口の中でふんわりと解けるような極上の食感を追求。試行錯誤の末に完成した「焼きたてバームクーヘン」は、洋菓子界に大きな衝撃を与えた。和菓子の道具や技術を応用し、生地の水分量をギリギリまで保ちながら焼き上げる技法は、職人の長年の経験と勘によって磨き上げられたものだ。
かつて慶事の贈り物というフォーマルな存在だったお菓子は、日常のご褒美や旅の目的地へと昇華した。近江八幡の小さな町から始まった挑戦は、やがて全国のデパ地下や主要都市へと波及し、今や滋賀を代表する一大文化となった。