日々の業務で頻出する「事業主貸」の具体的な仕訳パターンを網羅しました。確定申告の青色申告(複式簿記)で帳簿を作成する際の標準的な記帳手順です。
1. 事業用口座から生活費を引き出した場合
事業用の普通預金から生活費として現金300,000円を引き出したケースです。
(借方)事業主貸 300,000円 /(貸方)普通預金 300,000円
個人事業主には「給料」という概念が存在しないため、生活費の支払いはすべて事業主貸で処理します。
2. 事業主個人の所得税・住民税・国民健康保険料を事業用口座から支払った場合
事業用口座から住民税50,000円を口座振替で納付したケースです。
(借方)事業主貸 50,000円 /(貸方)普通預金 50,000円
事業税や固定資産税(事業用按分分)、消費税などは「租税公課」として事業の経費に計上できますが、所得税や住民税、国民健康保険料、国民年金保険料は「個人に対する課税・社会保険料」であるため、経費にはできません。事業用口座から支払った場合は必ず事業主貸で処理します。
3. 事業用クレジットカードで私的な買い物をした場合
事業用カードでプライベートの衣服代15,000円を決済したケースです。
(借方)事業主貸 15,000円 /(貸方)未払金 15,000円
後日、事業用口座から引き落とされた際は「(借方)未払金 15,000円 /(貸方)普通預金 15,000円」と相殺します。
4. 自宅兼オフィスの家賃・光熱費を家事按分する場合
事業用口座から家賃月額120,000円が引き落とされ、事業利用割合が40%(48,000円)、私用割合が60%(72,000円)であるケースです。
(借方)地代家賃 48,000円 /(貸方)普通預金 120,000円
(借方)事業主貸 72,000円
期末にまとめて按分処理を行う方法もありますが、月次で事業主貸を切り分けておくと、試算表の実質的な事業経費をリアルタイムに把握しやすくなります。
5. 白色申告における専従者給与の扱い
青色申告で「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出している場合、家族への給与は「専従者給与」として全額経費になります。一方、白色申告の「事業専従者控除」は実際の現金の支払いを経費にする制度ではなく、申告書上で一定額を所得控除する仕組みです。そのため、白色申告者が家族に実際に生活費や小遣いとして現金を渡した場合は「事業主貸」として処理します。