2011年春、日本中を震撼させた「ユッケ食中毒事件」は、富山県、福井県、石川県、神奈川県に展開していた「焼肉酒家えびす」で相次いで発生した。腸管出血性大腸菌(O111やO157)に汚染された和牛ユッケを摂取した顧客が、次々と激しい腹痛や下痢、志賀毒素による溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症。最終的に死者5人、重症者多数という未曾有の大惨事へと拡大した。
このチェーンを運営していたのが「株式会社フーズ・フォーラス」である。同社は過激な低価格路線と急激な店舗拡大で急成長を遂げていたが、その裏では納品された肉の表面を削り取る「トリミング」作業を怠るなど、基本的な安全確認を軽視していた。卸業者との間で責任の擦り付け合いが行われるなど、仕入れから調理に至る全工程での管理機能不全が惨劇を招いた最大要因であった。