サウンド面とリリックの融合も見事というほかない。作詞を手がけた有馬三恵子は、「逢う時にはいつでも他人の二人」という背徳的で割り切った大人の男女関係を、無駄を削ぎ落とした研ぎ澄まされた言葉で描き出した。ドロドロとした情念に堕ちることのない、どこか都会的で冷徹な距離感。これこそが、当時のリスナーにとって新鮮な驚きとなった。
そこに完璧な息吹を吹き込んだのが、名匠・川口真のペンによるグルーヴィーなアレンジだ。ボサノヴァとファンク、ソフトロックの要素を絶妙にブレンドしたドライなビートは、従来の昭和歌謡の枠組を軽々と飛び越えていた。結果としてシングルは100万枚を超える大ヒットを記録。第15回日本レコード大賞で企画賞を受賞し、同年のNHK紅白歌合戦への出場を果たすなど、歌謡曲の新たな地平を切り拓いた。