何度か鑑賞を重ねると、物語の構造的な仕掛けが浮き彫りになってくる。勝一が工場で作らせている戦闘機のキャノピー(風防)の美しい曲面は、異世界で大叔父が積み上げる「積み木」の危うい均衡とどこか呼応している。父が軍需産業で生きる現実と、大叔父が理想を追求する虚構の塔。眞人はその二つの世界の狭間で揺れ動く。
木村の演じる勝一が発する声は、どれほど不気味な青サギの誘惑があろうと、異形のペリカンやインコたちが騒ぎ立てようと、常に眞人を地上へと引き戻す引力として機能する。消えた夏子を探すため、木刀ではなく本物の軍刀を腰に差して異界の入り口へと踏み込んでいく父親の叫び。あの場面の木村の声には、理屈を超えた親の執念が宿っていた。