漫画はもともと「擬音語・擬態語(オノマトペ)」を視覚化することに長けたメディアだが、ろう文化を描く作品においては、独自のビジュアル言語が急速に進化を遂げている。手話の動きを単なる連続ポーズとして描くのではなく、手の軌跡、空気の揺れ、顔の表情(文法的な役割を果たす表情変化)を効果線やコマの連続性を用いて立体的に表現する技術が見事だ。
さらに特筆すべきは「無音」の演出である。敢えて文字効果音を全消去し、コマの余白と登場人物の視線の動きだけで静けさの深さを表現する演出は、読者に「音が消えた世界」の感覚を擬似体験させる。この視覚表現のイノベーションは、内外のマンガ研究者や現代美術の分野からも高い評価を得ている。