文具と並び、子どもたちの色彩観を決定づけるもう一つの柱が教科書だ。教科書の発行には文部科学省の検定と学習指導要領が深く関わっているが、近年の教科書デザインは劇的なパラダイムシフトを迎えている。
教科書業界を牽引する東京書籍株式会社や、通信教育最大手の株式会社ベネッセコーポレーションが発行する教材では、従来の慣習的な色分けを踏襲しつつも、「カラーユニバーサルデザイン(CUD)」の導入が急速に進んだ。色覚の多様性に配慮し、どのような視覚特性を持つ子どもであっても教科を瞬時に見分けられるよう、明度差や補助的なピクトグラムを組み合わせた高度な色彩設計が施されている。
かつてのような原色中心の大胆な色分けから、誰もがストレスなく識別できる洗練されたトーンへの移行。公教育が目指すインクルーシブな理念が、現代の教科書や副教材の色彩表現をより機能的で優しいものへと塗り替えている。