「性格が良い人」というと、不平不満を一切言わず、自分の感情を押し殺している人物をイメージするかもしれない。しかし、行動科学の視点からは、その見解は真っ向から否定される。過度な感情の抑圧は燃え尽き症候群や突発的な人間関係の破綻を引き起こす要因にしかならないからだ。
歴史的な心理学者カール・ユングはかつて、人間の心理構造における「影(シャドウ)」の受容の重要性を説いた。自分のネガティブな側面を否定せず、正しく認識することによってのみ、人間は真の統合と他者への寛容さを獲得できる。この心理学的テーマは、ヒットしたアニメーション映画『インサイド・ヘッド』でも鮮やかに描かれた通りだ。「悲しみ」や「怒り」という感情の役割を認め、排除しないことこそが、心の健やかさを保つカギとなる。
実際に周りから親しまれる人々は、自身のネガティブな感情を力ずくで消し去るのではなく、「今、自分は苛立っているな」と客観的に観察している。自分自身の弱さや感情の揺らぎを認められるからこそ、他人の失敗や感情の乱れに対しても寛容になれるのだ。