2010年6月のグランドオープン以来、既存の美術館とは一線を画す「民営・公設」の文化施設として異彩を放っていたアーツ千代田3331。その閉館が発表された際、多くのアートファンや地元住民に走った衝撃は記憶に新しいところです。
最大の閉館理由は、施設を所有する千代田区との間で交わされていた「定期建物賃貸借契約の満了」にあります。当初10年間の協定としてスタートした事業は、区の理解と地域からの高い評価を受けて期間延長が重ねられていましたが、2026年3月31日をもって13年におよぶ契約が満了を迎えました。
背景にあったのは、昭和40年代に建設された旧校舎の深刻な老朽化です。耐震性の確保や設備インフラの全面刷新、バリアフリー対応など、抜本的な安全対策を講じるためには、施設全体を長期間休館させた上での千代田区による文化施設の大規模改修工事が不可欠な段階に達していました。行政による公共インフラの更新スケジュールと、民間主導のアートセンター事業が一区切りを迎えるタイミングが重なったことが、契約終了という決断の核心にあります。